喜々と楽々は元気にのんびり過ごしているものの,警戒心が強く,なかなか近づかせないとのこと.「こちらに来たばかりの頃は寂しそうでした.かわいがられて育ててくださっていますね」と羽原さん.
えころも牧場農園は株式会社ころもアニマル事業部に位置づく.羽原さんは大学では畜産を学び,サラリーマン生活をしつつもいつかは新規就農をと胸に秘めていた.子どもの頃から動物が好きでいつか牛飼いになりたいと…….牛は穏やかで自分のペースで生きているところに惹かれたという.
新規就農の準備を始めたものの,牛の購入価格が高騰し,いったんは挫折.アパレル系のお仕事をされていた連れ合いの方がブランド品のリサイクル事業を始められ,それが株式会社ころもにつながった.南青山にお店を出すほど好調だった事業が,今般のCOVID-19の感染拡大の影響を受け,事業縮小を余儀なくされ,再び山暮らしを始めるチャンスが到来.現在は2,000坪ほどの敷地に念願の牛2頭,ヤギ30頭ほど,たくさんの犬たち,豚1頭,烏骨鶏等々と共に暮らす.「企業人として働いていれば,働けばお金が入ってくる.しかし,お金を求めると人間は満足できないのですね.出会う人が変わってきたのが不思議です」と羽原さん.
私たちも初めてのヤギ飼いになり,戸惑うこと,不安になることもあったが,その都度相談にのっていただき, 2頭を育ててきた.地域の人たちにも愛されている.
写真は喜々と楽々の父ヤギ(クロマティ)と母ヤギ(さくらとふーちゃん).2頭の里帰り中に遊び場をつくり,2頭の住処の住み心地も向上した.羽原さんは「ヤギには不思議な力がある.神々しい佇まいを感じませんか.あの鳴き声にも癒されます」と語る.2頭が戻って来て近所の子どもたちも遊びに立ち寄る姿が見えるようになった.喜々と楽々がいる風景が私たちの日常なのだと改めて感じる今日この頃だ.
(記 増田 一世)
Comments